【分析機器解説!】原子吸光法と原子吸光分光光度計について
身近な食品として、ミネラルウォーターが市販されており、ラベルにはそのミネラルウォーターに含まれているミネラル成分が表示されています。
実は、この表示されている各ミネラル成分の量を測定するのに、原子吸光法を利用した原子吸光分光光度計という装置が使われています。
原子吸光分光光度計以外にも、以前紹介したICP-MSなども使用されています。
また、ミネラルウォーター以外にも、水道水や河川の水、工場などから排出される水に含まれる金属などの無機元素の測定にも原子吸光分光光度計が用いられています。
そこで今回は、原子吸光分光光度計の解説、またフレーム法とファーネス法の原子化方法についてご紹介したいと思います!
原子吸光分光光度計について
原子吸光分光光度計とは、原子吸光法を利用して試料中に含まれる元素の量を測定するための装置です。
原子吸光法とは
まず、原子同士が結びついた分子などの化合物に熱エネルギーを加えることにより「単独の自由な原子」を作ります。
これを原子化といいます。
そして原子化された元素は、特定の元素のみが特定の波長の光を吸収するという性質をもちます。
原子吸光法はこれらの性質を利用することによって測定を行う方法です。
この原子吸光法による測定では、各元素が吸収する光の波長はごく限られた範囲のため、測定時に他の元素を間違えて測定してしまう可能性が非常に低いという特徴があります。
さらに、測定感度が高く、ppm(100万分の1)からppb(10億分の1)のオーダーまで測定できます。
そのため、この原子吸光分光光度計は主に金属などの無機元素の定量に使用されています。
原子吸光分光光度計の種類について
原子吸光分光光度計には、元素を原子化する方法の違いによっていくつか種類があります。
今回は、代表的なフレーム法とファーネス法の原子化方法をご紹介します。
フレーム法とは
試料を噴霧しながら、温度が約2300~2800℃の炎(フレーム)に導入することによって、試料中に含まれる元素を原子化する方法です。
この方法では、試料中に含まれる元素を簡単な操作で分析でき、高い再現性が得られます。
ファーネス法とは
フレーム法とは異なり、原子化部に炎を使用していません。
そのため、フレームレス法ともよばれています。
この方法では、黒鉛炉(炭素管)に大電流を流して黒鉛炉を高温に加熱することで炉内の元素を原子化しています。
フレーム法よりも測定時間が長くなってしまいますが、少量の試料で非常に高い感度での分析が可能です。
最後に
今回のブログでは、原子吸光分光光度計についてご紹介しました!
当社は、装置の立ち上げ時間や単一元素の測定時間が短く、装置の前準備や操作が簡単で便利な原子吸光分光光度計を使用しています。
金属を含む水質分析についてご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください!