【コラム】「バイオマスプラスチック」の問題点とは?
7月1日から、レジ袋の有料化がスタートしました。
有料化されたのは全国のスーパーやコンビニなどの小売店で配布されているプラスチック製の買い物袋です。
ただし、プラスチック製でも植物由来のバイオマス素材が25%以上配合されている袋や、海洋生分解プラスチックの袋は対象外で、今後も無料で配布することができます。
バイオマス素材が、プラスチックの重量の25%以上を占めるものについては、地球温暖化対策に寄与することから、省令に基づく有料化の対象外とされたものです。
ところがその後、国連環境計画(UNEP)は、各種のレジ袋の生産から廃棄後までの環境影響に関し、海外の7件の研究結果を分析した結果、環境中で分解されやすい「バイオマスプラスチック(生分解性プラスチック)」は、ごみ発生は使い捨てプラスチックより小さいものの、焼却による温暖化や海洋酸性化への影響、含まれる化学物質による汚染などを考慮すると「最悪の選択肢である可能性が高い」と否定的見方を示した報告書を公表しました。
そこで今回は、「バイオマスプラスチック」の問題点についてご紹介したいと思います!
「バイオマスプラスチック」の定義
日本バイオプラスチック協会(JBPA)では、「バイオマスプラスチック」を、「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的または生物学的に合成することにより得られる高分子材料。」と定めています。
わかりやすく言うと、「バイオマスプラスチック」は「生物由来の資源を利用して生成されたプラスチック」というイメージです。
生物由来のため、環境中で微生物や紫外線などの作用によって、最終的に水と二酸化炭素にまで分解されるものも多いことから「生分解性プラスチック」とも呼ばれます。
これだけ聞くと、環境にとてもやさしい素材のように感じますが、どこが問題なのでしょうか?
「バイオマスプラスチック」の問題点とは?
1.環境中では分解されにくい
「バイオマスプラスチック」といっても、荷物を入れるためにはある程度の強度が求められます。
そのため非常に高い温度と湿度の条件のもとでしか分解されなかったり、分解に長い時間がかかるものもあります。
さらには、通常のプラスチックと同じように小さな破片となり、動物の食物網に入ることもあります。
2.「バイオマスプラスチック」でも分解されないものがある?
「バイオマスプラスチック」と従来のプラスチックを混錬したものの場合は、生分解性のプラスチックの部分は分解されますが、従来のプラスチックの部分は分解されずに残存してしまいます。
今回の無料レジ袋として25%以上バイオ素材含有が認められているように、こういった両方の素材を混錬したプラスチックが廃棄されてしまうと、一部が分解されずに環境中に残ってしまうことになります。
3.食料と競合してしまう
「バイオマスプラスチック」の原料として微生物に分解されやすいようにデンプンが利用されているものも多いです。
しかし、このデンプンは私たちの食糧にもなる農作物(主にトウモロコシ)と競合してしまうため、私たちの食の安全を脅かし、土地利用の変化と農業の炭素排出を促進させてしまいます。
4.地球温暖化ガスの排出
「バイオマスプラスチック」は分解されると二酸化炭素と水になりますが、利用される素材によっては、微生物により、二酸化炭素の数十倍強力な温室効果があるメタン発生の原因になることが懸念されています。
5.リサイクルできない?
「バイオマスプラスチック」といっても100%「バイオマスプラスチック」でできている製品は少ないです。
通常、生分解性のプラスチックと従来のプラスチックを混錬して使用されていますが、このようなプラスチックは違う素材が混ざっているので、廃棄後同じプラスチックとしてリサイクルできません。
リサイクルするとすれば燃料として燃やすしかありません。
最後に
いかがだったでしょうか?
今回のブログでは「バイオマスプラスチック」の問題点についてご紹介しました!
一見環境にやさしいと感じられる「バイオマスプラスチック」もまだまだ発展途中で問題点もたくさんあります。
しかし、このような技術は地球の将来のために必ず必要となるものです。
将来、必ず問題解決されると信じて待ちたいと思います。