【底質調査】調査目的と調査項目、評価方法について
当社は、湖沼の現状把握や経時変化を見るために、湖沼調査を行っています。
※湖沼の水質調査の様子についてはこちらのブログを参考にしてください
湖沼の水質調査の際には、同時に底質の調査も行うことがあります。
そこで今回は、底質の調査についてと、どのような項目を調べるのかについてご紹介したいと思います!
底質調査の目的について
底質とは、湖沼などの水底に積もっている物質のことを言います。
石、砂、泥などでできており、魚介類などの生息の場となっています。
しかし、水底には、有機物(水中の生物の死骸や排泄物など)、窒素やリンなども含まれており、これらの物質が溶出すると、水質に影響を及ぼします。
状態の悪化した底質からは硫化水素やメタンガスが発生します。
そのため、底質の状態の調査は、水質保全のための排出抑制対策を計画したり、その効果を検証するために必要となります。
また、有害物質による水質汚染が見つかった場合に、原因を特定するために底質の調査が行われることもあります。
底質調査の項目について
主な調査項目としては、次のようなものがあげられます。
1.有機物
有機物の指標としては次の3つがあります。
- 強熱減量
有機物量の目安となる項目で、底質を600℃で2時間加熱(強熱)したときに減量する割合です。
強熱すると、有機物は燃えてなくなるため、減量が多いほど有機物の割合が多いと判断されます。
- COD(Chemical Oxygen Demand)
強熱減量と同様に有機物量の目安となる項目で、有機物と薬品を反応させて、消費される薬品の量を調べる方法です。
消費量が多いほど、有機物が多いということになります。
- TOC(Total Organic Carbon)
全有機炭素という有機物の指標です。
有機物は強熱すると、二酸化炭素と水に分解されます。
サンプルを強熱したときに発生する二酸化炭素の量から、サンプルに含まれる炭素の量を調べる方法です。
TOCが高いほど有機物が多いということになります。
2.窒素・リン
富栄養化の指標となる項目になります。
過剰な窒素、リン分の流入、生物の死骸の分解などによって発生します。
3.硫化物
底質悪化の指標となる項目になります。
硫化水素と金属などが結合したもので、いわゆるドブ川のにおいの原因となる物質です。
これら項目の経年変化等をモニタリングして底質の状態を把握します。
底質の評価方法について
底質に関する基準は、
- ダイオキシンの環境基準
- 水銀の暫定除去基準
- PCBの暫定除去基準
があります。
参考:環境省「ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の低質の汚染を含む。)及び土壌の汚染に係る環境基準」、環境省「底質の暫定除去基準について」
底質に関する基準は、上記の3つのみで、他に法的な基準はありません。
暫定除去基準とは
この基準値を超える底質は、浚渫(しゅんせつ)などを行って汚染を除去しなければなりません。
長期間の調査を行っていく中で、結果の推移を見て、改善傾向にあるのか、悪化傾向にあるのかを評価することになると思われます。
最後に
今回のブログでは、底質の調査についてと、どのような項目を調べるのかについてご紹介しました!
当社では、行政からの委託による底質調査を行っています。
池から異臭がするなど気になることがありましたら、お気軽にご相談ください!