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2020.12.11(金)

【分析機器解説!】高速液体クロマトグラフについて

高速液体クロマトグラフについて

当社は、飲料水、地下水等の農薬測定、飲料水中のホルムアルデヒド測定、作業環境測定におけるホルムアルデヒドの測定、リスクアセスメントにおけるビスフェノール、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)の測定などで高速液体クロマトグラフを利用しています。

そこで今回は、高速液体クロマトグラフについてご紹介したいと思います。

高速液体クロマトグラフについて

高速液体クロマトグラフとは、地下水や飲料水の測定時に使用する分析装置です。

この装置を使用して測定する方法を高速液体クロマトグラフィーと言い、HPLCあるいは液クロと呼ばれています。

HPLCについて

HPLCとは「High Performance Liquid Chromatography」の頭文字からなっています。

訳すと高性能液体クロマトグラフィーですが、日本語としては「高速液体クロマトグラフィー」と呼ばれています。

クロマトグラフィーとは

いくつかの混ざりあったものをひとつずつに分離する分析方法のことをいいます。

クロマトグラフィーは、分離の方法によって異なり、

  • ペーパークロマトグラフィー
  • カラムクロマトグラフィー
  • 薄層クロマトグラフィー

などに分けられます。

このうち、カラムクロマトグラフィーには

  • 液体を流して分離を行う液体クロマトグラフィー
  • 気体を流して分離を行うガスクロマトグラフィー

の2つに大きく分別することができます。

HPLCは、ガスクロマト、イオンクロマトと同じくカラムクロマトグラフィーに分類され、イオンクロマトと同様、液体を流しながら成分の分離を行う液体クロマトグラフィーの一種です。

※ガスクロマトについてはこちらのブログを参考にしてください

※イオンクロマトについてはこちらのブログを参考にしてください

HPLCは低分子から高分子まで、またイオン性物質も非イオン性物質も測定できるもので、イオンクロマトはHPLCの一種であるといえます。

HPLCでは、液体の流れ(移動相)に調べたい物質をのせて、カラムの中(固定相と呼ばれる固体あるいは液体の物質)を移動させます。

移動相と固定相との間に働く力によって分離モードが決められ、主に吸着(順相)、分配(逆相)、イオン交換、サイズ排除の4種類に分類されます。

  • 吸着モード(順相)…水の中に油を流してくっつけるイメージ
  • 分配モード(逆相)…油の中に水を流して分けるイメージ
  • イオン交換モード…水に溶けてイオンになる物質に使用
  • サイズ排除モード…ふるいにかけて分けるイメージ

この中で、汎用されている手法は逆相クロマトグラフィーです。

当社でも逆相モードで分析を行うことがほとんどです。

高速液体クロマトグラフの構造について

高速液体クロマトグラフの概要

高速液体クロマトグラフの概要

高速液体クロマトグラフの構造は上記のようになっています。

まず、移動相(溶離液)を一定流量で流します。

移動相は均一のまま用いる場合(アイソクラティック溶離)と、複数の移動相を混合させその割合を変えていく場合(グラジエント溶離)があります。

カラム(細長い管の中に成分を分離する素材が詰められているもの)の中を通ることで物質は分けられ、決められた順に検出器の方へ出てきます。

調べたい物質、分離モード、移動相の関係性を考えて選択します。

検出器には、紫外可視吸光度検出器(UV/VIS)、蛍光検出器(FLD)、ダイオードアレイ検出器(DAD)、質量分析計(MS)等が用いられます。

※検出器については後日、ブログにてご紹介予定になっています。

これらの検出器の中で使用頻度が高いものはUV/VIS検出器です。

検出器(調べたい物質の濃度を信号に変える機器)で得られた信号はPCなどのデータ処理装置へ送られクロマトグラムとなります。

最後に

今回のブログでは、高速液体クロマトグラフについてご紹介しました。

高速液体クロマトグラフはJISや上水試験方法などの公定法に採用されている分析方法で、当社では

  • 飲料水、地下水等の農薬測定
  • 飲料水中のホルムアルデヒド測定
  • 作業環境測定におけるホルムアルデヒドの測定
  • リスクアセスメントにおけるビスフェノール、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)の測定

等で使用しています。

ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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