【排水分析】水質汚濁防止法(水濁法)について
工場や処理場といった事業所からの排水には、環境基本法や水質汚濁防止法など、水に関する多くの法律や基準が適用されます。
その基準を守らないと、健康被害が発生するなど大きな社会問題となることもあります。
そこで今回は、排水分析に関連した法律である水質汚濁防止法についてご紹介したいと思います。
水質汚濁防止法について
水質汚濁防止法とは河川、湖、海などの公共用水域や地下水の汚染を防止することで、人々の健康と生活環境を守ることを目的として定められています。
この水質汚濁防止法という法律に基づき、各事業所には排水規制が適用されています。
排水規制とは
排水規制の内容には
- 特定施設の設置等の届出をすること
- 排水基準を遵守すること
- 排出水の汚染状態の測定をすること
- 事故時の措置及び届出をすること
などがあります。
規制の対象となる事業所
排水規制の対象となる事業所は、有害物質や生活環境を汚染するおそれのある水を公共用水域に排出する特定施設を持つ特定事業場などが当てはまります。
特定施設の種類
水質汚濁防止法に基づく特定施設例は、次のいずれかの要件を備える汚水または廃液を排出する施設で、その種類は政令で定められています。
- カドミウムその他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質(有害物質)を含むもの
- 化学的酸素要求量その他水の汚染状態を示す項目(生活環境項目)で、生活環境に係る被害を生ずるおそれがある程度のもの
※特定施設は種類がとても多いため、参考に愛知県の水質汚濁防止法のあらましのリンクを貼ります。資料中の表1に特定施設の記載があります。
特定事業場から公共用水域に出る水は、排水基準に適合するものでなければいけません。
ただし、カドミウムやシアンなど有害物質に関する基準は全ての特定事業場に適用されますが、それ以外の水素イオン濃度や生物化学的酸素要求量などの生活環境項目は1日の排水量が平均50㎥以上の特定事業場に適用されます。
そして、注意しなければいけないのは、この基準は特定事業場から公共用水域に出る水すべてに適用されるということです。
排出水の例として
特定施設から出る水以外に雨水も公共用水域に流していて、それぞれ別々の排水口から排水していた場合、それぞれに排水基準が適用されます。
この排水基準に違反すると罰則(懲役または罰金)を受ける恐れがあります。
測定記録について
排水分析は水質汚濁防止法第14条、水質汚濁防止法施行規則第9条にもとづき、排水の汚染状態を測定し、記録することが必要となります。
測定頻度は年1回以上、記録は3年間保存することとされています。
また、国で定める基準に加えて、地方条例でより厳しい上乗せ基準が設けられている場合があり、この場合にはより厳しい方の基準が適用されます。
最後に
今回のブログでは、排水分析関連法律の水質汚濁防止法についてご紹介しました。
水質汚濁防止法についてご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。