【排水分析の制度・法令】水質総量削減制度について
前回のブログでご紹介した環境基本法、水質汚濁防止法以外にも事業所からの排水に関する制度や法令として、水質総量削減制度と下水道法があります。
※水質汚濁防止法についてはこちらのブログを参考にしてください
水質総量削減制度は環境省により定められている制度で、指定地域に適応されています。
そこで今回は、水質総量削減制度についてご紹介したいと思います!
水質総量削減制度について
水質総量削減制度とは、通常の排水規制だけでは水質汚染の防止が難しいと判断される海域において、濃度規制だけでなく、水質汚濁物質の量を規制することを言います。
水質総量削減制度の対象となる海域
- 東京湾
- 伊勢湾
- 大阪湾
- 大阪湾を除く瀬戸内海
があり、これらの海域は閉鎖性海域と呼ばれています。
閉鎖性海域について
閉鎖性海域とは周囲を陸地で囲まれている海域のことを言います。
周囲を陸地で囲まれていることによって、外海との水の交換が行われにくく、流入した汚濁物質が蓄積しやすくなります。
また、周囲の地域に人口、産業などが集中し、生活排水や工場排水が大量に流れ込み、富栄養化によるプランクトンの異常増殖から始まる水質の悪化が起こりやすい地形にもなっています。
そこで、これらの海域の周囲を指定地域として、総量規制基準が定められています。
指定地域図
引用:環境省「今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会と中長期ビジョン策定について」
東海地方(愛知、岐阜、三重)では伊勢湾に排水が流れる地域が多いのでほぼ全域が指定地域となっています。
総量規制基準が適用されるのは、指定地域にある排水量が1日平均50㎥以上の特定事業場です。
規制項目
排出規制項目には
- COD(化学的酸素要求量)
- 窒素含有量
- リン含有量
があります。
水質総量削減制度の規制基準は各項目の濃度ではなく、排出水の汚濁負荷量で決められています。
各項目の汚濁負荷量はそれぞれの算出式で求めます。
※規制基準値は事業場の業種ごとに定められています。
参考:愛知県「総量規制基準の概要」
水質測定の対象となるのは、特定施設から出る排水のみで、雨水などは対象になりません。
したがって、特定施設からの排水と雨水が合流して排出されている場合には、合流前の特定施設の排水の水質測定を行わなければなりません。
水質測定の頻度
※1日当たりの平均排水量を求めるためには1日に複数回、排水の採取を行うことが必要となります。
測定でお困りの方へ
どのような水質測定を行えばよいかは、業種、規模などによって異なります。
当社では作業場の事情を勘案し、最適な測定プランをご提案いたします。
最後に
今回のブログでは、排水分析の水質総量削減制度についてご紹介しました!
水質総量削減制度についてご相談などがありましたら、お気軽にお問い合わせください!