【環境水分析】環境水(公共用水域)の環境基準と水質検査について
環境水とは、一般的に河川、湖、海などの公共用水域の水、地下水のことをいいます。
これらの水は、飲料水、生活用水、農業用水などに利用されるため、良好な水質が保たれる必要があります。
そのため、環境基本法で定められた環境基準があり、水質汚濁防止法などによって環境水の水質汚染を防止する取り組みが行われています。
そこで今回は、環境水(公共用水域)の環境基準と水質検査についてご紹介したいと思います!
水質の環境基準について
水質の環境基準とは、政府による環境保全政策の目標として定められた基準になります。
水質汚濁の状況を評価する際の基準として用いられ、この達成度に応じて排水規制などの施策が行われます。
水質汚濁に関する環境基準には、地下水に関する基準と公共用水域に関する基準の2つがあります。
1.地下水の環境基準について
地下水の環境基準には水質基準という基準があります。
この基準は良好な自然環境の状態を保つために維持することが望ましいとされています。
環境基準は行政上の目標値であり、行政が地下水の汚染状況を監視し、その結果に基づいて事業者に指導などの施策を行います。
2.公共用水域の環境基準について
公共用水域の環境基準には
- 人の健康の保護に関する項目(有害物質27項目)
- 生活環境の保全に関する項目(pH、BOD、大腸菌群数など)
などがあります。
参照:環境省「平成29年度公共用水域水質測定結果について」
上記のような、人の健康の保護に関する環境基準は、全ての公共用水域に対して定められています。
生活環境の保全に関する環境基準は、河川、湖沼、海域ごとに、さらに利用目的、水生生物の適応性に応じた分類に分けられて定められています。
また、環境基準は定められてはいませんが、状況を監視するべき項目として、要監視項目(クロロホルムやトルエンなど全26項目)が定められています。
参照:環境省「要監視項目及び指針値(人の健康の保護に係る項目)」
※環境基準は環境汚染の改善目標であり、工場、事業場に対する排水基準とは別のものです。
行政は公共用水域の水質を常に監視して、この基準を超える環境汚染が広く認められる場合には、排水の規制などの政策をとります。
次に公共用水域の中でも特に水質の悪化が起こりやすい湖沼についてご説明します。
湖沼の水質について
湖沼などの、外の水との入れ替わりが少ない水域は、閉鎖性水域と言われています。
閉鎖性水域とは
水生生物の栄養となる汚濁物質が蓄積する、いわゆる富栄養化という状態になりやすい水域のことをいい、プランクトンの異常発生による水質の悪化が起こりやすい構造になっています。
また、湖沼には天然の池と人工の池がありますが、環境基準が適用されるのは天然の池と貯水量が1,000万m3以上の人工の池になります。
人工の池と言えば、身近な公園の池やため池を思い浮かべますが、1,000万m3というと、東京ドーム約8個分の大きさになりますので、ほとんどの公園の池やため池は対象外で、対象はダムなどの大きな貯水池に限られます。
公園は、都市の緑地の確保、人々の憩いの場として、ため池は農業用水の確保を目的とした施設です。
それに加え、生物の生息場所、災害時の避難場所、豪雨災害や土砂災害の防止などの機能も併せ持っています。
これらの池の水質が悪化すると、景観の悪化、悪臭の発生などによる周辺住民の生活環境の悪化、農作物への被害などにつながります。
したがって、環境基準は適用されなくとも、水質汚染は防止することが望ましいものと思われます。
環境水の水質検査
公共用水域の水質検査は、基本的には行政が行うもので、通常は行政からの委託によって水質検査を行う形になります。
当社では行政からの河川水質調査、池の水質調査などの実績もあります。
- 民間の工場
- 事業場で周辺河川の水質に関して苦情を受けたので水質検査を行いたい
- 農業用水の水質に問題がないか調べたい
などでお困りのお客様にも、事業内容を考慮して適切な検査項目をご提案いたします。
最後に
今回のブログでは、環境水(公共用水域)の環境基準と水質検査についてご紹介しました!
環境水以外にも排水分析や飲料水分析の法律関係についてのブログもありますので、ぜひご覧ください。
環境水分析についてご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合せください!