作業環境測定
2026.08.31(月)

幼稚園の教室で照度測定を実施しました|明るさの基準と正しい管理とは?

幼稚園の教室で照度測定を実施|LED化後の明るさは適切?

先日、ある幼稚園の先生から、「教室の照明をLEDに交換したところ、以前より明るくなり、少し明るすぎるのでは?」というご相談をいただきました。

そこで今回は、実際に幼稚園へ伺い、教室内の照度測定を行いました。

普段は広報を担当している私も測定に同行し、実際に照度計を使って教室の明るさを確認してきました。

そもそも「照度」とは?

照度とは、その場所や面にどれくらい光が届いているかを表すものです。

単位にはルクス(lx)が使われ、数値が高いほど明るい状態を表します。

例えば、部屋全体は明るく見えていても、机や棚などの影によって、実際に使用する場所の照度が低くなっていることがあります。

そのため、部屋全体の印象だけで「明るい・暗い」を判断するのではなく、実際の明るさを照度計で測定して確認することが大切です。

教室の照度を測定してみました

今回の測定では、まずレーザー距離計を使用して教室の大きさを測定しました。

その後、教室内を約1.5m間隔で分割し、1教室につき16か所の測定ポイントを設定。それぞれのポイントで照度計を使用して明るさを測定しました。

幼稚園の教室の照度測定に使用した照度計
今回の測定で使用した照度計

今回の照度測定の手順

① レーザー距離計で教室の大きさを測定
② 約1.5m間隔で教室を分割
③ 16か所の測定ポイントを設定
④ 各ポイントを照度計で測定

今回は、この方法で全4教室の照度を測定しました。

場所によって明るさは意外と違います

実際に測定してみると、同じ教室の中でも照度は一定ではありませんでした。

  • 窓に近く、外からの光が入りやすい場所
  • 棚やロッカーなどの什器に近い場所
  • 照明との位置関係によって明るさが変わる場所

などで照度に違いが見られました。

このように、「部屋全体としては明るく見える」という場合でも、場所によって明るさには差があります。実際に複数のポイントを測定することで、教室内の明るさの状態を数値で確認することができます。

照度には「法的な基準」と「JISの推奨照度」があります

照度を考えるうえで知っておきたいのが、法令で定められた照度基準と、JISで示されている推奨照度の違いです。

法令の照度基準は「最低限必要な明るさ」

令和4年12月1日から、事務所衛生基準規則第10条第1項に定められている照度基準が改正されました。

事務所において労働者が常時就業する室では、作業面について次の照度を確保することが求められています。

作業の区分 照度基準
一般的な事務作業
文字を読む、書類を確認するなど
300ルクス以上
付随的な事務作業
資料の袋詰めなど、細かい識別を必要としない作業
150ルクス以上

この基準は、照度不足による眼精疲労などの健康障害を防ぐために定められたもので、いわば「最低限確保する必要がある明るさ」です。

なお、この基準は事務所で労働者が常時就業する室に対するものです。幼稚園の教室にこの数値がそのまま法的に適用されるという意味ではありませんが、明るさを評価する際の参考の一つとなります。

JISでは作業性や快適性を考えた「推奨照度」も

一方、JIS Z 9110「照明基準総則」では、人が安全かつ快適に作業や活動を行うための推奨照度が示されています。

つまり、法令で定められた数値が「最低限確保する明るさ」であるのに対し、JISの推奨照度は、作業のしやすさや快適性まで考慮して照明環境を検討するための目安と考えると分かりやすいでしょう。

法令とJISの違い

法令の照度基準
→ 健康障害を防止するために最低限確保する必要がある明るさ

JISの推奨照度
→ 作業性や快適性なども考慮して設定されている推奨値

では、今回の教室は「明るすぎた」のでしょうか?

今回のご相談で一番気になるのは、やはり「LED化した教室は明るすぎるのか?」という点です。

今回、4教室・各16ポイントで測定した結果、外からの光が届きやすい場所や什器の近くなどで照度の変動は見られましたが、すべての教室で今回確認した下限値の目安を満たす結果となりました。

法令では一般的な事務作業について300ルクス以上という下限値が設定されていますが、「○○ルクスを超えたら明るすぎる」という一律の上限値は設定されていません。

また、JISなどの照明に関する資料を見ると、作業の種類によっては750ルクスや1,000ルクスといった照度も推奨値として用いられています。

今回の測定に対する当社の所見

光の強さとしては下限値の基準が300ルクスに設定されており、すべての部屋で基準を満たす結果でした。

明るい側について一律の上限値は設定されておらず、照明に関する資料では1,000ルクス程度の照度が推奨される作業もあります。

そのため、今回の測定結果からは、照度の数値として「明るすぎる」と判断する状況ではないと考えられます。

ただし、明るさは照度の数値だけで判断するものではありません。

照明や窓からの光が目に入って「まぶしい」と感じたり、場所によって明暗の差が大きかったりすると、照度が適切でも過ごしにくさにつながる場合があります。

そのため、照度の数値だけでなく、まぶしさや明るさのムラなども含めて確認することが大切です。

LED化後の「明るすぎる?暗すぎる?」は照度測定で確認できます

今回のように、照明をLED化したことで、以前と比べて「明るくなりすぎたのでは?」と感じることがあります。

反対に、事務所や工場では、照明器具の交換やレイアウト変更によって「手元が暗くなった」というケースも考えられます。

人の感覚だけでは判断しにくい明るさも、照度計を使用することで「実際に何ルクスあるのか」を数値で確認することができます。

教室・事務所・工場などの照度測定に対応しています

当社では、今回のような教室をはじめ、事務所や工場などの照度測定にも対応しています。

「LEDに交換したけれど明るさが適切か確認したい」
「事務所の照度が法律の基準を満たしているか確認したい」
「作業場所が暗い、または明るすぎるように感じる」

このような明るさに関するお悩みがありましたら、ぜひ弊社へ一度ご相談ください。


参考:
厚生労働省「職場における労働衛生基準が変わりました」
事務所衛生基準規則 第10条第1項関係(照度について)
JIS Z 9110「照明基準総則」

尾北環境分析 OFFICIAL SNS