【水質基準改正の解説】公共用水域と下水道の新たな規制
2022年4月に環境基本法の水質汚濁に係る環境基準のうち、「六価クロム」の環境基準値が変更され、また「大腸菌群数」が「大腸菌数」に見直されました。
これを踏まえ、先般、水質汚濁防止法施行令、建築基準法施行令、下水道法施行令による「六価クロム化合物」、「大腸菌群数」の水質基準が改正されました。
※参考:環境省「「水質汚濁防止法施行令及び建築基準法施行令の一部を改正する政令」の閣議決定について」
※参考:環境省「水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令の公布について」
「六価クロム化合物」は2024年4月1日より、「大腸菌群数」は2025年4月1日より施行となります。
そこで今回は、見直しの経緯と改正の概要ついてご紹介します。
「六価クロム化合物」の見直しの経緯
有害物質の人体に対する有害性の評価は、常に新たな知見に基づいて見直しが行われています。
「六価クロム」についても見直しが行われ、2020年4月の水道水の水質基準値の変更に始まり、2022年4月に一般環境の基準値である「水質汚濁に係る環境基準」、「地下水の水質汚濁に係る環境基準」の値が改正されました。
そして、これを受けて今回、公共用水域、下水道への排水基準、地下水の浄化基準が改正されることとなりました。
「大腸菌群数」の見直しの経緯
「大腸菌群数」は水の糞便汚染の指標となるものですが、大腸菌以外の自然由来の細菌も検出され、糞便汚染を的確に捉えられない場合があることが問題でした。
しかし、より的確に糞便汚染を捉えることができる「大腸菌数」の測定を簡便に行う技術が確立され、水質汚濁に係る環境基準が「大腸菌群数」から「大腸菌数」に改正されました。
この状況を踏まえ、今回、公共用水域、下水道への排水基準、浄化槽の性能基準が改正されることとなりました。
改正の概要
水質汚濁防止法施行令
「大腸菌群数」が「大腸菌数」に改正されます。
排水基準を定める省令
「六価クロム化合物」に係る許容限度が0.2mg/L
「大腸菌数」に係る許容限度が800CFU(コロニー形成単位)となります。
水質汚濁防止法施行規則
地下水の水質の浄化措置命令に関する浄化基準が、「六価クロム化合物、0.02mg/L」
となります。
(※地下水汚染が判明した場合、この濃度以下まで浄化しなければならない基準)
下水道法施行令
「六価クロム化合物」が1リットルにつき0.2mg(現行0.5mg)
「大腸菌数」が1ミリリットルにつき800コロニー形成単位以下となります。
(※書き方が異なりますが排水基準と同値です)
建築基準法施行令
浄化槽の汚水処理性能について「大腸菌数、1ミリリットルにつき800コロニー形成単位以下」に改正されます。
※参考:国土交通省「下水道法施行令の一部を改正する政令が閣議決定されました」
最後に
今回は見直しの経緯と改正の概要ついてご紹介しました。
当社ではすでに新しい基準にも対応しています。
ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。