【金属アーク溶接】ヒュームコレクターを設置した際の効果について
金属アーク溶接等作業は令和3年4月より、「溶接ヒューム」が特定化学物質障害予防規則の規制対象になり、個人サンプラーを用いた溶接ヒューム(マンガン濃度)の測定を行う必要があります。
※個人サンプラーを用いた溶接ヒューム測定についてはこちらのブログを参考にしてください
実際に濃度を測定して、基準値より高かった場合、どのような改善策を講じれば良いか分からない方もいるかと思います。
そこで今回は、溶接ヒューム濃度低減の1つの手法となるヒュームコレクターを設置した際の効果についてご紹介したいと思います!
金属アーク溶接等作業を行っている事業者の方はぜひご確認ください!
こちらのブログについてはYouTubeにて動画バージョンも公開していますので、「【溶接担当者必見!】金属アーク溶接作業現場の環境改善するには?」もぜひご参考ください。
金属アーク溶接について
金属アーク溶接とは
- 金属アーク溶接する作業
- アークを用いて金属を溶断し、またはガウジングする作業
- その他の溶接ヒュームを製造し、または取り扱う作業
のことをいいます。
※燃焼ガス、レーザービーム等を熱源とする溶接、溶断、ガウジングは含まれません。
溶接ヒュームとは
溶接ヒュームとは、金属アーク溶接時に溶けた金属が蒸発して、気体となって発散された金属蒸気が空気中で微粒子となって浮遊しているものを溶接ヒュームといいます。
極めて小さい粒子のため、煙のように見えます。
ヒュームコレクターについて
ヒュームコレクターとは、空気中に浮遊しているヒューム(粉じん)を吸引する装置です。
今回はケムトリくんという製品を使用し実験を行います。
ヒュームコレクターケムトリくん
労働安全衛生法のじん肺法施行規則(じん肺則)の対策品として利用されているヒュームコレクターになります。
KEMPER社(環境に厳しいドイツにある最大のヒュームコレクターメーカー)により製造されており、日本国内で3000台以上の販売実績のある製品になります。
実験方法について
今回は、産業機械の組み立てや、金属の加工等を行っている会社様にご協力いただき、溶接ヒュームの個人ばく露測定という方法を用いて実験行いました。
※デモ作業での測定です。
実験方法
まず、作業者の呼吸域に採取器(個人サンプラー)を装着し、ポンプをベルト等に固定した状態で、通常通りの作業を行います。
次に、ヒュームコレクターの吸引口を溶接箇所近くに設置し、通常通りの作業を行います。
※設置時には、吸入風による溶接不良が発生しないか確認する必要があります。
ヒュームコレクター設置時には、ヒュームの拡散が少なくなっているのが分かります。
このヒュームコレクターの無しの場合と、有りの場合のマンガン濃度を比較してヒュームコレクターの効果を確認しました。
実験結果について
今回の実験結果はこのようになりました。
ヒュームコレクター有りの場合では、目で見てわかるほど捕集されたヒュームの量が減っていることがわかります。
下記の表が捕集したヒュームを分析し、1㎥当たりのマンガン濃度を求めた結果になります。
令和3年から施行される法改正でのマンガン濃度の基準値0.05mg/㎥と比較すると、ヒュームコレクター無しの場合、基準値の約60倍の値となりました。
ヒュームコレクター有りの場合、基準値を下回る値となり、ヒュームコレクターを使用することにより、作業者の呼吸域の溶接ヒューム濃度(マンガン濃度)を大きく低減できることが確認できました。
※デモ測定ですので、溶接作業ばかりしている時間の中で短時間で採取をしています
最後に
今回のブログでは、金属アーク溶接現場にヒュームコレクターを設置した際の効果についてご紹介しました。
当社ではすでに、個人サンプラーを用いた金属アーク溶接の測定や、ヒュームコレクターの販売を行っております。
金属アーク溶接やヒュームコレクターについてご相談などありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。