【水質分析】実際のBOD測定の様子
BODとはBiochemical Oxygen Demandの略で、日本語で生物化学的酸素要求量といい、水中に含まれる有機物が微生物によって分解されるときに消費される溶存酸素量(水中に酸素がどれだけの濃度で溶け込んでいるか)を表したものです。
BODの測定値は、水中の有機物量を表す指標となります。
以前BODの解説をしましたが、今回はBOD測定の実際をご紹介します。
※BODの解説についてはこちらのブログを参考にしてください。
実際のBOD測定について
必要に応じて検体のpH、残留塩素を中和し、空気を吹き込みます。検体の溶存酸素濃度を一定にするためで、これによって溶存酸素が飽和濃度付近になります。
検体を放置すると溶存酸素濃度が減少していきますが、BODを求めるためには、5日後でも適度に溶存酸素が残っていることが必要で、多すぎても少なすぎてもBOD値が適切に評価できません。5日間で溶存酸素濃度が40~70%消費されるように、過去データやCODの値を参考にして検体を希釈します。そして1つの希釈試料につき15分後測定用、5日後測定用の2つの試料をフラン瓶に分取します。
BODの計算例(植種を行わない場合)
希釈倍数が2倍で、15分後の溶存酸素濃度が8.9mg/L、5日後が4.5mg/Lだったとすると、
となります。
なお、実際には植種という、有機物を分解する微生物を加える操作をします。その場合、計算はもう少し複雑になりますが、おおむね近い値になります。
5日後測定用のフラン瓶をインキュベーターに入れ、20℃で培養します。
15分後測定用のフラン瓶は15分後に溶存酸素濃度を測定します。この時点で著しく溶存酸素濃度が減少したものは、化学的に酸素を消費する物質が含まれていると考えられ、BODは測定不可となります。このような検体は15分後の溶存酸素濃度からIDOD(Immediate DissoIved Oxygen Demand、瞬時の酸素消費量)を求めます。
15分後に溶存酸素濃度を保っているものは5日間培養後に溶存酸素濃度を測定し、BODを求めます。
最後に
今回はBOD測定の実際をご紹介しました。
BODについてご相談などがありましたら、お気軽にお問い合わせください!