【分析項目解説!】大腸菌について
令和3年10月7日に公共用水域の水質汚濁に係る環境基準の改正が告示され、令和4年4月1日から施行されています。
この改正によって大腸菌群数が生活環境項目環境基準の項目から削除され、新たに「大腸菌数」が追加されました。
そこで今回は、大腸菌数の測定とその環境基準についてご紹介したいと思います!
大腸菌を測定する意義
大腸菌は人や動物の腸内に存在する細菌の一種で、ふん便とともに体外に排出されます。
したがって、水から大腸菌が検出されるということは、その水がふん便で汚染されていることを示します。
赤痢菌(せきりきん)、コレラ菌、チフス菌などの病原菌は動物のふん便を介して感染します。
これらの病原菌の検査には時間と手間がかかりますが、大腸菌の検査は比較的容易に行うことができるため、まずは水がふん便に汚染されていないかどうかを示す指標として大腸菌の検査が行われます。
大腸菌群から大腸菌へ
今回の改正で検査項目が「大腸菌群数」から「大腸菌数」に改められました。
大腸菌群には植物や土壌に生息する細菌も含まれ、ふん便由来の大腸菌以外の菌も検出されることが問題となっていました。
環境基準が設定された当時は簡単に大腸菌だけを調べる方法がありませんでしたので、大腸菌群数がふん便汚染の指標として採用されました。
その後、簡単に大腸菌のみを調べる技術が確立され、水道法の水質基準に採用され、今回の環境基準の改正に至りました。
大腸菌数の環境基準
大腸菌の環境基準は、その水域の用途によって20~1000CFU/100mLとされました。
大腸菌数に用いる単位はCFU(コロニー形成単位(Colony Forming Unit))/100mL とし、大腸菌を培地で培養し、発育したコロニー数を数えることで算出します。
排水基準は大腸菌群数
今回、環境基準は大腸菌数となりましたが、排水基準は大腸菌群数のままで変わっていませんのでご注意ください。
今後、排水基準にも大腸菌数が採用されることが予想され、下水処理場などで大腸菌数の検査方法、結果の検証が行われています。
病原性大腸菌とは異なる
環境基準で言う大腸菌はふん便汚染の指標であって、生物学的な分類とは異なるものです。
生物学的には大腸菌にはビフィズス菌のような有益なものからブドウ球菌の用に有害なものまで多くの種類がありますが、大腸菌数の検査はこれらの菌を特定して調べているわけではありません。
例えば、O-157は代表的な病原性の大腸菌ですが、また別の方法で検査されます。
最後に
今回のブログでは、大腸菌数の測定とその環境基準についてご紹介しました。
当社では、排水、環境水、飲料水などの大腸菌の検査、食品のO-157、サルモネラ菌などの検査を行っています。
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