【分析機器解説】イオンクロマトグラフや高速液体クロマトグラフで使用される検出器について
排水や環境水の農薬、飲料水中の陰イオンやホルムアルデヒド、排ガス中のNOxやSOx、作業環境測定におけるホルムアルデヒド、ビスフェノール類、イソシアネート類等の分析などで、高速液体クロマトグラフや、イオンクロマトグラフを利用しています。
※イオンクロマトグラフについてはこちらのブログを参考にしてください
※高速液体クロマトグラフについてはこちらのブログを参考にしてください
高速液体クロマトグラフやイオンクロマトグラフは、検出器が用いられており、種類によって分析できる物質が異なります。
そこで今回はイオンクロマトグラフや高速液体クロマトグラフで使用される検出器やその種類についてご紹介したいと思います!
検出器について
検出器を使うことで、どのような物質が含まれている(定性)か、どれくらい含まれている(定量)かを測定することができます。
この時、どの検出器にするのかを目的物質の性質に応じて選択します。
その性質は以下のように分類されます。
- 光を吸収する性質をもつもの⇒光学的検出器
- 電気的性質(電池、さびの生成やメッキなどが持つ性質)をもつもの⇒電気的検出器
- 気体状のイオンになる性質をもつもの⇒質量分析計
次に、各検出器についてご説明していきます。
光学的検出器について
光学的検出器に分類される代表的なものは、4つあります。
紫外可視分光度検出器(UV/VIS)
紫外可視分光度検出器とは、目に見える光(可視光)や、可視光より波長が短く目に見えない光(紫外光)のうち、特定の光を測定する検出器です。
※可視光、紫外光についてはNDIRのブログを参考にしてください
最もよく使われている検出器で、農薬、シアン化物イオン及び塩化シアン、ホルムアルデヒドなどの分析に使用しています。
ダイオードアレイ検出器(DAD,PDA)
ダイオードアレイ検出器とは、上記の紫外可視分光度検出器と似たような仕組みを持つ検出器で、フォトダイオードアレイ(半導体素子:電気回路に使われる部品の一種で例えばLEDなど)を使用して特定の1つの光だけではなく、たくさんの光を同時に分析することができます。
蛍光検出器(FLD)
蛍光検出器とは、可視光や紫外光を吸収して発光する(蛍光)性質をもつ物質を測定する検出器で、アミノ酸の分析等に使われます。
作業環境測定での、変異原化学物質のビスフェノール A,Fや、イソシアネート類(MDI,TDI)等の分析に使用します。
示差屈折率検出器(RID)
示差屈折率検出器とは、屈折率(屈折とは、光が異なる物質の境界面を通る時に進行方向が変わる現象で、屈折率は光の進みにくさを表します)を利用した検出器です。
紫外可視分光度検出器、ダイオードアレイ検出器、蛍光検出器で検出できない糖類、アルコール類などの検出に利用されています。 |
電気的検出器について
電気的検出器に分類される代表的なものは、2つあります。
電気伝導度検出器(CD)
電気伝導度検出器とは、イオン化した成分について電気の通しやすさを測定する検出器です。
主にイオンクロマトの検出器として利用され、飲料水や環境水中の陰イオン(塩化物イオンなど)や陽イオン(アンモニウムイオンなど)排ガス中のNOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)等の分析をしています。
電気化学検出器(ECD)
電気化学検出器とは、酸化や還元が起きる成分についてその起こりやすさを測定する検出器です。
アドレナリンやドーパミンといった神経伝達物質の分析に使われます。
質量分析計について
質量分析計に分類される代表的なものは、1つあります。
四重極型
四重極型とは、試料を気体状のイオンにするための真空容器中に4本の金属棒が配置されているもので、イオンを測定する検出器です、
定性にも定量にも適している検出器で、幅広い分野の様々な試料の検出ができます。
環境分野においては、農薬類、界面活性剤、臭素酸等の分析で使用されます。
環境分野では四重極型を使うことがほとんどですが、他にもイオントラップ型、飛行時間型(TOF)等があります。
詳しくは株式会社島津製作所のメーカーホームページをご覧ください
最後に
今回のブログでは、イオンクロマトグラフや高速液体クロマトグラフで使用される検出器についてご紹介しました。
当社では、これらの検出器を使用して、
- 排水や環境水の農薬、飲料水中の陰イオンやホルムアルデヒド
- 排ガス中のNOxやSOx
- 作業環境測定におけるホルムアルデヒド、ビスフェノール類、イソシアネート類等
これらの分析を行っています。
ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。