【金属アーク溶接】マスクの選定、フィットテストについて
「溶接ヒューム」が神経障害等の健康被害を及ぼすおそれがあることが明らかになったため、特定化学物質障害予防規則の特定化学物質として規制対象になります。
以前のブログでは個人サンプリング法による溶接ヒュームの濃度測定のご紹介をさせていただきました。
※個人サンプリング法による溶接ヒュームの濃度測定についてはこちらのブログを参考にしてください
今回は、濃度測定後に行わなければならないマスクの選定、フィットテストについてご紹介したいと思います!
マスクの選定について
これまで金属アーク溶接等作業現場においては粉じん障害防止規則により、国家検定品の防じんマスクの使用が義務づけられていました。
今回の法改正で令和4年4月1日からは、個人サンプリング法による溶接ヒューム濃度測定の結果にもとづいた適切なマスクを選定する必要があります。
マスク選定の手順について
手順1.要求防護係数を求める
下記の式を用いて要求防護係数を算出します。
PFγ=要求防護係数
C=溶接ヒュームの濃度の測定の結果から得られたマンガン濃度の最大の値
手順2.要求防護係数を上回る「指定防護係数」を有するマスクを選定する
例えば、溶接ヒューム濃度が0.40mg/m3であった場合、要求防護係数は8.0になるので、8.0より大きな指定防護係数のマスクを選定する必要があります。
下表より選定する場合、RS1又はRL1、DS1又はDL1は指定防護係数が4なので使用できないため、それら以外を選定する必要があります。
指定防護係数例(厚生労働省告示第286号別表第1より)
※上記は指定防護係数のあるマスクの一部であり、すべてを示しているものではありません。
マスクのフィットテストについて
マスク選定後、一部のマスクを除き、1年に1回、「定量的フィットテスト」またはこれと同等方法によりマスクが適切に装着できているか確認し、その結果を3年間保存する必要があります。
JIS T 8150による定量的フィットテストの手順について
まず、マスクフィットテスター等の漏れ率測定装置で、マスクの外側と内側の測定対象物の濃度を測定します。
実際の測定の様子
フィットテスター
次に、計算式によりフィットファクタを求め、要求フィットファクタを上回っているか確認します。
フィットファクタは、マスクが適切に装着されているかの目安となる値です。
フィットファクタの計算式
フィットテストの結果が、要求フィットファクタを上回っていることを確認します。
要求フィットファクタ
最後に
今回のブログでは、マスクの選定、フィットテストについてご紹介しました。
当社では、4月からフィットテストの対応することができます。
実際に当社で普段使用しているマスクでフィットテストを行いましたが、要求フィットファクタをクリアするのは容易ではなく、かなり丁寧な装着を行うことが必要となります。
ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください!