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作業環境測定
2020.10.05(月)

【事例紹介】浮遊粉じんの測定事例についてご紹介!

事例 粉じん

当社では、普段は法令に基づいた測定を行うことが大半なのですが、稀に法令とは直接関係のない測定のご相談をいただくことがあります。

そこで今回は、工場内の浮遊粉じんの測定事例についてご紹介したいと思います!

測定内容について

ある日、自動車の金属部品を製造するメーカー様から、新設した工場の作業場の環境がどれだけよくなったのか客観的な数値で確認したいので測定をお願いしたい、とのご依頼がありました。

ご依頼をいただいた際には、まずどのような方法が適切なのか、ご担当者様のもとへ訪問して打合せをさせていただき、その後電話、メールにて測定方法について協議の上、測定しました。

比較を行った作業場では、

  1. 切削(せっさく)加工または塑性(そせい)加工による金属加工が行われていること
  2. 作業員から粉じんが気になるという声が出ていること
  3. 粉じんの原因としては金属の切りくずによる粉じん、または加工機から立ち上がる油煙が考えられること
  4. 新設工場は全体換気が強化されていること

とのことでしたので、旧工場と新設工場の両方で作業場内の浮遊粉じん濃度を比較することを提案し、測定を実施しました。

測定方法について

今回は、浮遊粉じん濃度を比較するため、作業環境測定の粉じん測定で使用する、ハイボリュームサンプラーを用いて、作業場内の粉じんをろ過捕集する方法を採用しました。

※ハイボリュームエアーサンプラーについてはこちらのブログを参考にしてください

しかし、測定を行う作業場は作業環境測定の対象となる作業場ではなく、あくまでも作業場の空気中の全体の粉じん濃度の測定が目的なので、分粒装置は使用しない方法で(分粒装置を外してオープンフェイスの状態で)試料の採取を行うことにしました。

また、デジタル粉じん計による相対濃度測定も同時実施しました。

※デジタル粉じん計についてはこちらのブログを参考にしてください

新・旧工場で同じ工程を行っている作業場で、現場の担当者と打合せの上、作業場内の代表的な試料空気が採取できると考えられるポイントをそれぞれ3か所決めました。

ハイボリュームサンプラーによる捕集の条件

  • ハイボリュームサンプラー…柴田科学社製 HV-500F
  • ろ紙…東京ダイレック社製 TX40HI20-WW
  • デジタル粉じん計…柴田科学社製 LD-3K2
  • 測定条件…1ポイント当たり500L/min  20分

測定の結果について

詳細な結果は公開することができませんので、参考値ですが、旧工場の浮遊粉じん濃度を1とすると、新工場の浮遊粉じん濃度は1.2になりました。

旧工場と新工場の結果を比較すると、残念ながら期待したほどの改善には至っていませんでした。

新工場のほうがわずかに高くなっているのは、加工機の設置密度が高いことが考えられます。

金属の切りくずによる粉じんは重たく、気中を漂うことは少ないと思われるので、粉じんの主原因は油煙と考えられます。

しかし、加工機から一旦発散して作業場内に広がってしまった油煙は、全体換気を強化しても作業場の改善にはつながりにくいようです。

根本的な改善のためには、油煙の発生を抑制するか、加工機から発生してすぐの油煙を捕集する局所排気装置が必要と考えられます。

結果の報告について

今回の測定の結果は、試料採取後のろ紙の水分を除くため、一晩デシケーターという容器に入れて乾燥させるという作業が必要でしたが、基本的には特別な前処理や分析機器を使用せず、測定前後の重量を比較して、計算を行うため、測定の翌日にご担当者様にメールでお伝えしました。

その後、測定の結果と現場写真を整理し、報告書として整えた後、数日後にご担当者様へ報告書を持参し、測定結果の詳細と所見を説明して、本案件は終了となりました。

最後に

今回のブログでは、浮遊粉じん測定の事例についてご紹介しました。

当社では、法令に直接関係のない測定も行っていますので、気になることがありましたらお気軽にお問い合わせください!

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