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2021.02.24(水)

【コラム】水素エネルギーの課題解決の現状とは?

【コラム記事】水素エネルギーの課題解決の現状とは?

以前のブログで、水素エネルギーの利用・活用するための課題についてご紹介しました。

※水素エネルギーの利用・活用するための課題についてはこちらのブログを参考にしてください

その中でも、効率の良い製造、貯蔵、輸送技術、水素発電方法の開発を行うために、現在日本では国と産業界が手を組んで解決方法の研究・実証実験が進んでいます。

そこで今回は、水素エネルギーの課題解決の現状についてご紹介したいと思います。

課題解決の現状について

1.「褐炭水素プロジェクト」
(未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による)

オーストラリアには利用価値の低い低品質な石炭である「褐炭(かったん)」がたくさんあります。

そこで、オーストラリアで褐炭から水素を製造し、それを日本へと輸送する実証が進められています。

エネルギーの流れ

エネルギーの流れ

このプロジェクトでは具体的には、

  • 褐炭から水素を含むガスをつくる「褐炭ガス化技術」
  • 液化した水素を長距離、大量に輸送する技術
  • 液化した水素を荷役(港で船からあげおろしすること)する技術

これらの実証が行われています。

このうち、液化した水素を長距離、大量に輸送する技術については、2019年12月11日、液化した大量の水素を長距離輸送する世界初となる液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の進水式がおこなわれました。

水素はマイナス253℃まで冷却すると液体になり、体積が約800分の1になります。

「すいそ ふろんてぃあ」には1,250m3の真空断熱二重殻構造の液化水素貯蔵タンクが搭載されており、冷却されて、体積が気体の800分の1となった液化水素を、安全かつ大量に長距離海上輸送するために開発されました。

2021年の初旬にはオーストラリアから日本に水素を運んでくる予定となっています。

2.ブルネイで行われている「有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来水素サプライチェーン実証実験」
(技術研究組合「次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)」による)

ブルネイには油田、ガス田がありますが、採掘時に捨てていた(燃やしていた)未利用のガスがあります。

そこで、そのガス(主にメタンガス)から水蒸気改質で水素を取り出し「有機ケミカルハイドライド法」によって既に商用で使用されている運搬手段(ケミカルタンカーやタンクローリー)を利用して消費地へ運搬します。

水蒸気改質とは

水蒸気改質とは、商用向けに大量の水素を製造する方法です。

また、その方法は現状最も安価な方法と言われており、高温(500~1100℃)において金属触媒が存在すると、水蒸気はメタンと反応し、一酸化炭素と水素が得られます。

有機ケミカルハイドライド法とは

トルエンなどの芳香族の水素化反応によって水素を固定し、メチルシクロヘキサン(MCH)などの飽和環状化合物に転換を行い、常温・常圧の液体状態で貯蔵輸送を行って、脱水素反応で水素を取り出して利用する方法で、気体状の水素の体積が500分の1の有機溶剤として運搬することができます。

この方法の利点は、現在あるガソリン等の輸送方法をそのまま活用することができることです。

有機ケミカノレハイドライド法は、水素をガソリン成分に固定して、ガソリンと同様に常温・常圧の液体状態で貯蔵輸送する方法と言い換えることができます。

ブルネイで製造した水素は、すでに日本に向けて輸送を開始しています。

今後、有機化合物から水素を分離する「脱水素プラント」が日本側で動きはじめると、国際水素サプライチェーンの実証が、いよいよ本格的に動き始めることになります。

最後に

いかがだったでしょうか?

今回のブログでは、課題の解決方法の研究・実証実験についてご紹介しました。

今後も、水素エネルギーがどのように変化していくのか注目していきたいと思います。

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