【分析機器解説!】イオンクロマトグラフを使った飲料水等の分析について
当社では、飲料水や地下水、工場排水等の陰イオンの測定や、リスクアセスメントでの陰イオン測定、排ガス中に含まれているNOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)を調べる測定などでイオンクロマトグラフを利用しています。
そこで今回は、イオンクロマトグラフを使ってどのように物質を調べるのかご紹介したいと思います!
イオンクロマトグラフについて
イオンクロマトグラフはイオンクロマトグラフィーを行うための分析装置です。
クロマトグラフィーとは
いくつかの混ざりあったものをひとつずつに分離する分析方法のことをいいます。
クロマトグラフィーは、分離の方法によって異なり、
- ペーパークロマトグラフィー
- カラムクロマトグラフィー
- 薄層クロマトグラフィー
などに分けられます。
このうち、カラムクロマトグラフィーには
- 液体を流して分離を行う液体クロマトグラフィー
- 気体を流して分離を行うガスクロマトグラフィー
の2つに大きく分別することができます。
イオンクロマトグラフィーはカラムクロマトグラフィーに分類される、液体を流しながら成分の分離を行う液体クロマトグラフィーの一種になります。
イオンとは
イオンとは電気を帯びている物質で、-(マイナス)に帯電している陰イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン等)を検出する陰イオンクロマトグラフィーと+(プラス)に帯電している陽イオン(ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等)を検出する陽イオンクロマトグラフィーに分けられます。
溶液中のイオン性成分がどれくらい含まれているか数ppm(100万分の1)という低い濃度まで測ることができる便利な装置です。
次に、イオンクロマトグラフの構造についてご説明します。
イオンクロマトグラフの構造について
イオンクロマトグラフの概要
イオンクロマトグラフの概要は上記のようになっています。
まず溶離液と呼ばれる液体を流し、調べたい液体試料を注入口から入れます。
カラム(細長い管の中に成分を分離する素材が詰められているもの)の中を通ることで、イオンは分けられ、決められた順に検出器の方へ出てきます。
検出器(イオンの濃度を信号に変える機器)で得られた信号はPCなどのデータ処理装置へ送られクロマトグラム(右側のグラフ)となります。
検出器には、電気伝導度検出器、蛍光検出器、質量分析計等が用いられます。
また、検出器の前にイオン交換膜を置くサプレッサー方式というものもあります。
これらについては後日、ブログにてご紹介します。
最後に
今回のブログでは、イオンクロマトグラフについてご紹介しました。
イオンクロマトグラフィーはJISや上水試験方法などの公定法に採用されている分析方法で、当社では
- 飲料水、地下水、工場排水等の陰イオン測定
- リスクアセスメントでの陰イオン測定
- 排ガス中のNOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)測定
で使用しています。
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