【分析項目解説!】鉛について
「鉛フリー」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、「かつては鉛を使用していたが今は使用していない」という製品に使われる言葉です。
鉛は人体に有害な物質で、鉛を使用しないことが安全性のアピールになります。
そこで今回は、鉛の解説と環境基準・規制についてご紹介したいと思います。
鉛について
鉛は自然に存在する金属の一種です。
サビが出ず、柔らかく加工しやすいことから、水道の給水管、ハンダ、塗料などに広く利用されていました。
しかし、有害性があることから、鉛を使用しないものへの転換が進められています。
鉛の現在の代表的な用途は、自動車の鉛蓄電池(バッテリー)です。
その他、合金、防音材、銃弾など、身近なところでは釣り、カーテンの重りなどに使用されています。
また、放射線(X線など)を遮る効果が高く、放射線を扱う施設の建材に使用されています。
ちなみに鉛筆の「鉛」は黒鉛(炭素)のことで、鉛は含まれていません。
また、鉛には四アルキル鉛などの有機鉛化合物もあります。
四アルキル鉛
ガソリンのアンチノック剤(エンジンの異音、振動を防止する薬剤)として使用されていました。
今では自動車用のガソリンには使用が禁止されています。(飛行機用のガソリンには使用されています。)
アンチノック剤としては四エチル鉛が多く使用されます。
毒物及び劇物取締法(毒劇法)により、特に作用の激しいもので、人に対する危害の可能性の高いものとして特定毒物に指定されています。
揮発性があり呼吸器や皮膚からも吸収され、飛行機用ガソリンのタンクを清掃中に中毒を起こし死亡した例もあります。(1974.厚木)
鉛の毒性について
鉛が体内に入ると、運動機能の障害、腹痛、嘔吐、貧血などを起こし、腎臓、脳などに障害を及ぼすおそれがあります。
鉛による腹痛は鉛疝痛(えんせんつう)と呼ばれる鉛中毒の典型的な症状です。
特に子供は大人よりも鉛の吸収が速く、鉛製のアクセサリーを誤飲して急性中毒を起こし死亡した例もあります。(2006.米国)
体内に入った鉛は自然に排泄されますが、排泄しきれない分は骨に蓄積され何十年にも渡って残り続けます。(人の中毒とは違いますが、狩猟の銃弾にも鉛が使用されているため、放置された動物の死骸と一緒に銃弾を鳥が摂取し鉛中毒になるケースがあります。天然記念物のオオワシなどが被害にあい、死亡する事例が発生しています。北海道などでは鉛の銃弾の使用が禁止されています。)
鉛の給水管
かつては鉛製の給水管が多用されていましたが、腐食による水漏れ、有害性から他の材質の給水管への転換が進んでいます。
地域や建物により鉛配管が使用されている所では、朝一番で水を使うときには最初に出る水は飲料に使わないようにという旨の注意が出されています。
鉛の環境基準・規制について
鉛及びその化合物は、水質、大気、土壌、廃棄物などの濃度基準があります。
労働安全衛生法では、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則で、労働者の健康被害防止が定められています。
※鉛中毒予防規則についてはこちらのブログを参考にしてください
最後に
今回のブログでは、鉛の解説と環境基準・規制についてご紹介しました。
当社では、水質、大気、廃棄物、土壌、製品、作業環境中の鉛の分析を承っております。
ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。