※最新版ブログあります!【アーク溶接作業場のマンガン測定】について!
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令和2年2月10日に厚生労働省から、令和元年度「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書」が発表されました。
その内容は、金属の溶接作業が行われる作業場で発生する溶接ヒューム(溶接作業時に発生する煙)について、マンガンの濃度測定を行うとともに、ばく露防止措置の義務付けが行われる、という内容です。
そこで今回は、アーク溶接作業場のマンガン測定について詳しくご説明したいと思います!
※下記の内容はあくまでも「検討会報告書」の内容ですので、実際に施行されるまでに若干の修正が行われる可能性があります(令和3年4月施行予定)
発表の要点
1.溶接ヒューム及び塩基性酸化マンガンを特定化学物質(管理第2類物質)に位置付けること
溶接ヒュームは、塩基性酸化マンガンが含まれており、ばく露による神経機能障害(震え、感覚障害など)が多数報告されております。
このことから塩基性酸化マンガンを含むマンガンを第2類特定化学物質に指定して、労働者の健康を守っていくことが必要とされました。
※特定化学物質に位置付けられたことによって、特定化学物質作業主任者の選任(特化則第27条)などといった作業管理等に関する規定が適用となりますので、この点もご注意ください。
2.溶接ヒュームばく露防止措置の義務付け。全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講ずること
ばく露実態調査の結果、溶接作業にかかる溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気の実施またはこれと同等以上の措置を講ずることが義務付けられるようになります。
必ずしも局所排気装置が必要ないとされたのは、溶接不良を防ぐための風速制限等からです。
ただしこの措置は金属をアーク溶接する作業及びアークを用いて金属を溶断し、またははガウジングする作業(以下「金属アーク溶接等作業」という。)を行う屋内作業場についてが対象とされており、アーク溶接以外の溶接(ガス溶接やレーザー溶接など)については対象外となっているようです。
3.金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場について、金属アーク溶接等作業を新たに採用し、また変更するときに、個人サンプリングにより空気中の溶接ヒューム濃度を測定すること
濃度の測定は従来の作業環境測定の方法ではなく、作業者個人にサンプラーを装着してその暴露濃度を測定する方法が採用されます。
試料採取機器等の装着は、測定の精度を担保する観点から2人以上の適切な数の労働者に対して行います。
溶接後の片付け等の関連作業は一連の溶接作業として測定の対象となりますが、組立や塗装作業等、溶接と関係のない作業は、測定時間に含めません。
上記のような採取装置を一日中装着したまま作業を行わなければならないので、作業者の方にはご不便をかけることとなってしまう可能性があります。
ご理解・ご協力をいただきながら実施してまいります。
管理濃度(基準値)は「マンガン」として0.05mg/m3(吸入性粉じん)となります。
なお、この測定に関しましては
- 十分な知識及び経験を有する者(第一種・第二種作業環境測定士等)が実施
- 十分な能力を持つ機関(作業環境測定機関等)に委託
することとされております。
※現在の検討会報告書では定期的な測定とは書かれていません。
4.金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、作業場所が屋内、屋外であるに関わらず、有効な呼吸用保護具を当該労働者に使用させること
個人サンプラーによる暴露濃度測定の結果と管理濃度から要求防護係数(測定されたマンガン濃度の値を基準値0.05mg/m2で除した値)の算定します。
事業者は、算定された要求防護係数を上回る指定防護係数を有する呼吸用保護具を選定し、労働者に使用させなければなりません。
5.溶接ヒュームの特殊健康診断の実施
特殊健康診断の項目は、現行の「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」の項目と同様になります。
特殊健康診断の対象となるのは、他の物質と同様に、溶接ヒュームにばく露される作業に常時従事する者に限られます。
今後の法改正のスケジュール
公布・公示
令和2年4~5月頃の公布・告示(予定)
- 政令(労働安全衛生法施行令)
- 省令(特定化学物質障害予防規則等)
- 厚生労働大臣告示(作業環境評価基準等)
令和2年7月頃の告示(予定)
- 測定及び保護具の選定に関連する厚生労働大臣告示
施行
令和3年4月1日(予定)
最後に
今回はアーク溶接作業場のマンガン測定についてご紹介しました。
アーク溶接作業場のマンガン測定についてご相談などがありましたら、お気軽にお問い合わせください!