【コラム】PFOS・PFOAとはどういう物質でどんな問題点があるのか?
「有害PFOSとPFOA、県内基地周辺7地点で国の目標値超え」
「有機フッ素化合物、地下水37地点で国の目標値超え」
最近のニュースでこのような見出しを目にされたことはありませんか?
PFOSやPFOAは人体や環境に対して有害性を持ち、国内で製造が禁止されている物質です。
環境省が令和元年度に全国171地点のPFOSやPFOAの排出源となり得る施設周辺を調査したことにより、沖縄県を中心に米軍基地周辺の水域が汚染されていることが判明して、注目されるようになりました。
※参考:環境省「令和元年度PFOS及びPFOA全国存在状況把握調査の結果について」
本記事ではPFOSやPFOAの概要や有害性などについてわかりやすく解説します。PFOSやPFOAの問題点について詳しく知りたい方は必見です。
PFOSやPFOAとは?
PFOSやPFOAは有機フッ素化合物の一種です。
- PFOS(ピーフォス):ペルフルオロオクタンスルホン酸
- PFOA(ピーフォア):ペルフルオロオクタン酸
有機フッ素化合物とは、独特の性質(水や油をはじく、熱に強い、薬品に強い、光を吸収しないなど)を持っている一方で、発がん性や発達障害などの報告があります。
PFOSやPFOAは撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤などに様々なものに使われていましたが、現在では①代替品の無いエッチング剤の製造 ②半導体レジストの製造 ③業務用写真フィルムの製造という3つの製造工程でしか使用されていません。
PFOSやPFOAの有害性
PFOSやPFOAは環境中で分解がほとんどされないため、環境への残留性や生物への蓄積性などが問題視されています。
動物実験では肝臓の機能低下などの内臓疾患やコレステロール値の上昇、免疫性の低下や発がんリスクの上昇が認められました。
PFOSやPFOAによる健康被害は急性的なものではなく、体内で蓄積されて起こるものです。環境省の調査からもわかるとおり、私たちの身の回りでも汚染が進んでおり、「いま大丈夫だから問題ない」という考えでは通用しないことがわかります。
PFOSやPFOAに関する規制
人体や環境に悪影響を及ぼす可能性が高いPFOSやPFOAは、以下2つの観点で規制が設けられています。
- 製造や輸入に関する規制
- 水質に関する規制
それぞれの規制について確認していきましょう。
製造や輸入に関する規制
PFOSやPFOAは製品の製造工程で広く使われてきましたが、人体や環境に与える負荷が大きいことがわかってきました。化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)により、PFOSは2010年、PFOAは2021年より製造・輸入が禁止されるなど規制が強まっているのが特徴です。
国際的な規制も進んでおり、POPs条約の付属書Bとして製造・使用・輸出入が制限されています。
※参考:経済産業省「POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)とは」
水質に関する規制(監視体制)
人体に有害性のあるPFOSやPFOAは、国内ではこれまで水道法による規制がありませんでしたが、2020年から水道水質に関する基準値の位置づけが「要検討項目」から「要監視項目」に変更されて、目標値が設定されました。
暫定目標値=PFOSとPFOAの合算値で0.00005mg/l 以下
PFOSやPFOAは分解されにくく、人体への蓄積性が懸念されていますが、まだ知見集積の段階です。今後の知見集積の状況によっては、「水質環境基準(健康項目)」へ移行される可能性もあります。
※参考:東京都水道局「有機フッ素化合物への水道局の対応について」
PFOSやPFOAの調査は尾北環境分析にお任せください
PFOSやPFOAは環境や人体への残留性が高く、揮発して無くなるような物質ではありません。活性炭フィルターなどでのろ過で処理するケースもありますが、十分な対策が確立されていないのが現状です。尾北環境分析ではPFOSやPFOAの調査が可能です。近隣の小牧市や豊山町の井戸水を調査して基準値以上の数値が検出された事例もありますので、まずは確認の意味でも調査の実施をおすすめします。気になる方はお気軽に尾北環境分析までお問合せください。