【分析項目解説】フェノール類について
水質検査の項目の一つにフェノール類があります。
フェノールというとポリフェノールという言葉をよく聞くと思います。
ポリフェノールは体にいいというイメージがあるかと思いますが、フェノールとはどのようなものなのでしょうか?
そこで今回は、フェノールの解説、水質規制や基準についてご紹介したいと思います。
フェノールについて
フェノールは消毒剤、合成樹脂、農薬、洗剤の原料などに広く使用されている物質です。
強い臭気があり、皮膚に付くと脱色や熱傷、飲み込むと消化器の炎症などを起こします。
フェノール類について
一般的には、フェノール及びフェノールと同じ構造を持つ物質をフェノール類と言います。
例として、クレゾール、アドレナリン、ポリフェノール(カテキン、タンニンなど)などがあります。
クレゾールは腐食性があり、環境ホルモン(内分泌かく乱物質。内分泌系に影響を及ぼすことにより、生体に障害や有害な影響を引き起こす外因性の物質の総称)の疑いがあるものなど、有害なものがあります。
ポリフェノールは植物の色素や苦みの成分で、適度な摂取で健康効果があると言われています。
フェノール類の水質規制について
水質規制の対象となるフェノール類は、一般的に言うフェノール類のうち、フェノールと水の臭気の原因となるもの、水生生物に影響するものになります。
ガス工場排水、化学工場排水、アスファルト舗装道路洗浄排水などが発生源となります。
水道法の場合
フェノールとクロロフェノール(フェノールと塩素が結合したもの)が対象となります。
水道水の臭気を防止することを目的として規制されています。
基準値はフェノールとして、0.005mg/L以下です。
水質汚濁に係る環境基準等
水生生物の生息、生育に支障を及ぼすおそれがあるものについて、水生生物の保全に係る環境基準が定められています。
- 環境基準値
- 要監視項目指針値
要監視項目とは、直ちに環境基準とはしないが、環境中の検出状況などのデータを集積するべきとされている項目のことで、状況判断の目安となる指針値が定められています。
水質汚濁防止法の場合
生活環境の保全に係る基準(水の汚れや生物の生育環境に関する項目)として、排水基準が5mg/L以下と定められています。
所定の分析方法で検出されるフェノール類(フェノール、クレゾールなど)が対象となります。
下水道法の場合
下水処理場の生物処理に影響があるため、排水基準が5mg/L以下と定められています。
対象となるフェノール類は水質汚濁防止法と同様です。
最後に
今回のブログでは、フェノール類についてご紹介しました。
当社では、フェノール類の水質分析も承っております。
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