【排ガス測定】「ピトー管」と「マノメーター」について
ボイラーや加熱炉などの排ガス測定時や局所排気装置の流速を測る際に、「ピトー管」と「マノメーター」という測定器を使用します。
そこで今回は、「ピトー管」と「マノメーター」の原理や、測定方法についてご紹介したいと思います!
ピトー管について
ピトー管とは、測定対象の煙道の中で全圧と静圧を測定することによって、流速を求める測定器です。
全圧・静圧とは
全圧とは動圧と静圧の和のことで、動圧とは流速の流れ方向に対して直面する方向にかかる運動エネルギー、静圧は煙道に対して内側からかかる圧力のことをいいます。
測定の際には、JIS-B-8330規格に規定されたピトー管またはピトー管係数のわかっている特殊ピトー管を使用しています。
当社では、ウェスタン型というピトー管を使用しています。
ウェスタン型ピトー管とは
このウェスタン型というピトー管は2本の管が反対方向を向いている形状をしており、このピトー管とチューブを繋ぎ、マノメーターの値を読み取ることで、煙道の流速測定をすることができます。
次にマノメーターについてご説明します。
マノメーターについて
マノメーター(差圧計)とは、2つの場所の圧力の差を測定する装置のことです。
液体が封入されたマノメーターの両端にピトー管から繋がれたチューブを繋ぎます。
すると、ウェスタン型ピトー管の圧力差により、液体が移動するので、その移動した距離から動圧を求め、後述の計算式により流速を求めます。
マノメーターには、傾斜管、U字管、デジタル式などのタイプがあります。
また封液には、水、アルコール、水銀、四塩化炭素、などがあり、当社では「2-プロパノール(IPA)」を使用する場合が多いです。
次にピトー管とマノメーターを用いた測定方法についてご説明します。
ウェスタン型ピトー管とマノメータを用いた測定方法について
まず、ウェスタン型ピトー管を図のように煙道の中で排ガスの流れる方向に対して、正面に向け動圧を測定します。
※ピトー管には、ピトー管ごとにあらかじめメーカーによって測定されたピトー管係数があります。
また、煙道の太さ(直径)によってピトー管の長さも変わってくるので使い分けています。
流速の求め方
測定した際に得られた値を以下の式に使用し、流速を求めます。
V:流速
C:ピトー管係数
Pd:動圧
ρ:密度
また風速を測定する機器として、デジタル風速計という測定器もあります。
KANOMAX社の「アネモマスターライトModel 6006-DO」というデジタル風速計を使用しており、測定範囲は0.01~20.0m/s、温度は-20.0~70.0℃まで測定できます。
デジタル風速計は、センサーのところに加熱された電極があり、その電極に風が当たると熱が奪われます。
その奪われた熱量を電気信号に変換することによって風速値を得ることができます。
このようにデジタル風速計は非常に簡単に風速を測定できるのですが、排ガスの測定には、使用されません。
その理由として、
- 排ガス測定では、デジタル風速計の使用範囲を超える温度での測定である場合が大半であること
- 排ガスに含まれるばい煙によって、デジタル風速計のセンサーが腐食・劣化する
- 風速計は排ガスの温度や密度の変化に補正がきかないため、値がピトー管より正確でない
- そもそもJISにはデジタル風速計の使用が規定されていない
上記のようにデジタル風速計では排ガスの風速を測定することができないため、「ピトー管」と「マノメーター」を使用します。
最後に
今回のブログは「ピトー管」と「マノメーター」ついてご紹介しました。
局所排気装置や排ガス測定についてご相談などがありましたら、お気軽にお問い合せください。