【作業環境測定】なぜ作業環境測定を行わなければならないのか?
「作業環境測定って絶対にしないといけないの?」というお問合せをよくいただきますが、労働者にある特定の作業をしてもらっている場合、事業者には作業環境測定を実施する義務が発生します。
作業環境測定の義務を怠った場合、労働基準監督署から指導が入る可能性も否定できません。
本記事では作業環境測定を行う目的や実施が必要な作業場、測定の流れなどをわかりやすく解説しています。作業環境測定について詳しく知りたい方は必見です。
こちらの記事についてはYouTubeにて動画バージョンも公開していますので、「絶対やらなきゃダメ!【作業環境測定】」もぜひご参考ください。
作業環境測定の目的
作業環境測定を行う目的は、労働者の健康被害を予防することです。例えば、以下のような作業場がある事業所では作業環境測定が必須です。
- シンナーなど人体に害のある有機溶剤を室内で取り扱っている作業場
- 音がガンガン鳴っており、耳栓が必須な作業場
- 粉じんが舞っており、防護マスクが必須な作業場
このような作業場で労働者が働いている場合、作業場の環境が原因で健康被害が起きてしまう可能性があります。
作業環境測定は「作業場の健康診断」です。労働者の健康被害を予防するために、環境中の有害物質の濃度や、音の大きさを科学的に評価して、作業環境が良好か否かを判断します。
作業環境測定を行うべき作業場
作業環境測定は、労働安全衛生法第65条にもとづき、測定を行うべき作業場が定められており、それぞれで以下の内容が決まっています。
- 測定の内容
- 測定頻度
- 記録の保存年数
上の図は作業環境測定を行うべき作業場を表したものです。灰色の作業場は、作業環境測定機関による測定が義務付けられている指定作業場になります。
この中で多くの事業所で対象となるのが以下の4つです。
- ①土石・岩石・鉱物・金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場(粉じん)
- ③著しい騒音を発する屋内作業場(騒音)
- ⑦特定化学物質を製造し、または取り扱う屋内作業場(特定化学物質)
- ⑩有機溶剤を製造し、または取り扱う一定の業務を行う屋内作業場(有機溶剤)
いずれの作業場も環境が整っていないと、労働者の健康被害を引き起こす可能性が非常に高くなります。
もし作業環境測定を行わなかった場合や保存年数を守らなかった場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金があるので、注意が必要です。
作業環境測定の流れ
尾北環境分析で実際に作業環境測定を行うときは、以下の流れで実施します。
- お客様からのお問い合わせ
- 作業場のヒアリング(作業内容やSDSの確認)
- 見積(ヒアリングだけで見積できない場合は現場調査を行う)
- ご発注
- 作業環境測定士による測定
- 測定結果の分析
- 報告書の提出
作業場の測定をさせていただいてから約2週間で結果報告書を提出可能です。結果報告書には、ヒアリングした内容、状況の観察事項、測定点を記載した図面、測定点での濃度(特定化学物質、有機則の場合)、管理区分が記載されています。
【2024年4月より】第3管理区分の厳格化について
作業環境測定で、作業環境管理が適切でない状態である「第3管理区分」に指定された場合は、作業場の改善を実施することが必要です。第3管理区分の対応については、2024年4月より厳格化されることが決定しています。
仮に第3管理区分に指定された場合、作業環境管理専門家に意見を聞く必要が出てきます。作業環境管理専門家とは、作業環境測定の経験が6年以上ある産業医や労働衛生コンサルタントのことで、作業場が改善可能かどうか判断できるプロフェッショナルです。
もし作業場の改善が困難と判断された場合は、「呼吸用保護具によるばく露防止対策」を徹底しなくてはなりません。それも個人サンプリング測定を行い、労働者一人ひとりに最適な保護具を選ぶ必要があるので、事業者にとってはかなりの負担増となるでしょう。