【作業環境測定】有機溶剤はなぜ管理が必要か
人体の健康に影響を与える有機溶剤に関する規制は年々厳しくなっています。
その中でも有機則や特化則という言葉は一度は耳にしたことがあるかと思います。
しかしなぜ有機溶剤は法律や規則によって使用が定められているのでしょうか?
そこで今回は、なぜ有機溶剤は管理が必要なのかについてご紹介したいと思います。
なぜ有機溶剤は管理が必要なのか
有機溶剤とは、ほかの物質を溶かす性質をもつ有機化合物の総称です。
有機溶剤は塗装、洗浄、印刷等の作業で幅広く使用されていますが、化学的に不安定な物質であり、人間の健康や環境に対する潜在的なリスクがあるため管理が重要です。
その主な理由は
- 健康へのリスク
- 火災及び爆発の危険性
- 環境への影響
- 法的規制
です。
それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。
1.健康へのリスク
有機溶剤は吸入だけでなく、皮膚接触によって人間の健康に害を及ぼす可能性があります。健康被害の中でもシンナー中毒やがんは広く知られています。
●シンナー中毒
一部の有機溶剤は有害な揮発性有機化合物(VOC)であり、長期間のばく露により呼吸器疾患、中毒症状、神経系障害等を引き起こす恐れがあります。
シンナーに含まれるトルエンやキシレンが主な原因物質です。
●ガン
一部の有機溶剤は発がん性物質として知られており、長期間のばく露によりがんのリスクが増加する可能性があります。
2.火災及び爆発の危険性
多くの有機溶剤は引火性や爆発性があり、不適切な取り扱いや保管により火災や爆発のリスクが高まります。
3.環境への影響
有機溶剤の不適切な処理や廃棄物の排出は大気汚染や水質汚濁を引き起こす可能性があります。これは生態系に悪影響を及ぼし、生態系バランスを崩すことがあります。
4.法的規制
多くの国や地域で、有機溶剤の使用や管理に関する法的規制が存在します。
これらの法令を遵守しない場合、罰金や法的制約の対象になる可能性があります。
日本の場合は主に以下の法的規制を受けます。
- 労働安全衛生法
労働安全衛生法の下で制定された「有機溶剤中毒予防規則」、「特定化学物質障害予防規則」 - 化学物質の審査及び製 造等の規制に関する法律(化審法)
- 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)
代表的なものを挙げましたが、ほかにも様々な法が関与してきます。
作業者にとってやはり健康被害が一番の関心事でしょう。
作業で使用している有機溶剤の詳しい内容は安全データシート(SDS)で確認できます。
SDSが交付されていない場合は、購入したところ(代理店などの搬入元やメーカー)に連絡して提供してもらいましょう。
当社では健康へのリスクを抑えるために、次の2点を推奨しています。
- 作業環境測定を行う
- 環境配慮型塗料を使用する
屋内の作業場において有機則で定められている溶剤を使用している場合は、労働安全衛生法で6ヶ月に1回の作業環境測定が義務付けられています。
作業環境の有機溶剤濃度を確認することで、職場の安全を守ることにつながります。
※有機溶剤の作業環境測定についてはこちらのブログをご覧ください。
また、有機溶剤の使用量が少ない環境配慮型塗料を使用することで、有機溶剤による健康被害を抑えることも可能です。
最後に
今回のブログでは、なぜ有機溶剤は管理が必要なのかご紹介しました。
当社では作業環境測定を行うだけでなく、測定後のアフターフォロー、必要に応じて環境配慮型塗料のご案内も行っております。
ご相談、ご質問などがありましたらお気軽にお問い合わせください。