【悪臭分析】悪臭防止法の解説と特定悪臭物質の種類について
悪臭とはどんなものを指すのか、特定悪臭物質とはどんな物質が当てはまるのか?、うちの工場は法律を守れているのか?などにおいについて心配なことがあると思います。
悪臭防止法の規制を守っていない場合、罰則が科せられることがあります。
そこで今回は、悪臭防止法とは何か、また特定悪臭物質として指定されている物質についてご紹介したいと思います。
悪臭について
悪臭とは人が感じる「嫌なにおい」、「不快なにおい」を言います。
「におい」には個人差があり、好み、慣れによって感じ方が異なります。
そのため、同じ「におい」でも、ある人には「いいにおい」と感じられても、他の人には悪臭と感じられることがあります。
また、一般的に「いいにおい」とされている「におい」でも、強さ、頻度、時間などによっては悪臭と感じられることがあります。
その逆のパターンもあり、例えば香水には一般的には「不快なにおい」とされているにおいが含まれている場合があり、他のにおいと混ぜることで「いいにおい」を作り出しています。
しかし、個人の感覚で良い、悪いが決められる「におい」ですが、悪臭防止法という法律で悪臭の原因物質の濃度について基準を定めています。
悪臭防止法について
悪臭防止法とは、工場などの事業場から出る悪臭を規制し、生活環境と国民の健康を守ることを目的とした法律になります。
悪臭の規制は、規制地域として指定された地域で行われます。
また、規制地域は各都道府県の知事または、市長によって定められています。
その規制地域内に設置されるすべての事業場が規制の対象となり、規制基準が定められています。
規制基準とは
悪臭の規制基準には
- 事業場のある敷地と隣の敷地との境界線での空気の基準(1号基準)
- 煙突の出口などの気体排出口での空気の基準(2号基準)
- 排水の排出口での排出水の基準(3号基準)
の3種類の基準があります。
※引用:愛知県環境局「悪臭規制のあらまし」
事業場のある敷地と隣の敷地との境界線での空気の基準(1号基準)
1号基準とは、その場所の空気を、基準値と比較し、基準値以下になっているかを判定するための基準です。
煙突の出口などの気体排出口の基準(2号基準)
2号基準とは、煙突の高さや排出ガス量などのデータから悪臭の広がり方をシミュレーションして、地面に到達するときに1号基準以下になるように計算される煙突の出口などでの空気に課せられる基準です。
煙突などから排気ガスを排気している場合、煙突から出たガスは徐々に薄まって広がり、地面に落ちてきます。
煙突など気体排出口からの排気ガスの悪臭は、地面に落ちてきたときに1号基準以下になっていなければなりません。
排水の排出口での排出水の基準(3号基準)
3号基準とは、その場所の水の悪臭を、基準値と比較し、基準値以下になっているかを判定するための基準です。
次に特定悪臭物質についてご説明します。
特定悪臭物質について
特定悪臭物質とは、不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのあるアンモニアや硫化水素などといった物質であり、悪臭防止法により22種類の物質が特定悪臭物質として定められています。
特定悪臭物質
規制の対象となる物質は下記表のとおりです。
- 1号基準ではアンモニア、トルエンなど全22物質が規制の対象となります
- 2号基準では硫化水素、キシレンなど全13物質が規制の対象となります
- 3号基準ではメチルメルカプタン、硫化水素など全4物質が規制の対象となります
※引用:環境省「臭気対策行政ガイドブックページ15より」
特定悪臭物質は、機器分析によって空気中の濃度として表され、測定した場所の空気中にその物質がどの程度含まれているのかを分析することができます。
また、においの原因となっている物質や発生源の特定もすることが可能です。
しかし、特定化学物質以外にもにおいを発生する物質は多くあります。
そのため、特定悪臭物質の濃度基準を守っていればくさくないといった証明にはならないという欠点があります。
最後に
今回のブログでは、悪臭の規制基準の1つである特定悪臭物質についてご紹介しました。
悪臭分析についてご相談などがありましたら、お気軽にお問い合わせください!