第三管理区分になったら?事業者がやることの「順番」を解説
第三管理区分とは、作業環境測定の評価で「作業環境の状態が管理の目標を満たしておらず、ただちに改善が必要」と判定された区分です。悪い結果が出ると「操業を止めなければいけないのか」「すぐに個人サンプリング測定をしないと違反なのか」と慌ててしまいがちですが、法令が求めているのは決められた順番で措置を進めることです。この記事では、その順番を中小の安全衛生担当者の目線で整理します。なお、この記事が対象とするのは、特定化学物質障害予防規則・有機溶剤中毒予防規則・鉛中毒予防規則・粉じん障害予防規則など、作業環境測定と管理区分の評価が義務づけられた規則の対象作業場です。
第三管理区分と評価されたら、まず何をするのか
第三管理区分と評価されたら、最初にやることは「なぜ濃度が下がらないのか」を確かめて改善することです。順番は次のとおりです。
- 設備・作業方法の点検を行い、悪化の原因を確かめる
- 局所排気装置の風量や作業手順など、できる改善措置を講じる
- 改善の効果を確かめるために、再測定・再評価を行う
- あわせて、有効な呼吸用保護具を使用させ、評価結果を労働者に周知する
つまり「第三管理区分=すぐに特別な測定が義務」ではなく、まずは原因をつぶして再測定で確かめるのが最初のステップです。ここで第一・第二管理区分になれば、第三管理区分としての追加措置ではなく、対象規則に基づく通常の定期測定・管理を続けます。
改善が難しいときの手順(ここが2024年の改正点)
点検・改善をしても第三管理区分から抜け出せない、あるいは技術的に改善が難しい——そのときに進むのが、2024年に施行された改正で整理された手順です。ポイントは「順番」と「外部の目」です。
1. 外部の作業環境管理専門家の意見を聴く
まず、その事業場に属さない外部の作業環境管理専門家の意見を聴きます。社内の判断だけで「改善困難」と決めるのではなく、第三者の目を入れるのが法令の考え方です。
- 専門家が「改善できる」と判断 → ただちに改善措置を講じ、あらためて測定・評価する
- 専門家も「改善は困難」と判断、または改善しても第三管理区分のまま → 次の措置へ進む
2. 個人サンプリング測定等と呼吸用保護具
改善が困難と判断された場合は、ただちに次の措置を講じます。
- 労働者の身体に装着する試料採取器等による個人サンプリング測定等で濃度を測定する
- その結果に応じた有効な呼吸用保護具を使用させる
- 面体のある呼吸用保護具は、正しく装着できているかを確認するフィットテストを行い、記録を3年間保存する
- 保護具着用管理責任者を選任する
- 専門家意見の概要・講じた措置・評価結果を労働者に周知する
3. 継続測定と労基署への届出
措置を講じた後も、第一・第二管理区分になるまでは定期的に個人サンプリング測定等を継続し、記録を保存します。そして、これらの措置を講じたことを所轄の労働基準監督署長に届け出ます。
つまずきやすい3つの誤解
現場でよく取り違えられるポイントを整理します。
- 「第三管理区分になったら即・個人サンプリング測定」ではない。まず点検・改善と再測定が先で、改善困難な場合に外部専門家を経て進みます。順番を飛ばさないことが大切です。
- 「作業環境測定が個人サンプリング測定に置き換わった」わけではない。特別則の対象物質は、場の作業環境測定の義務が残ったうえで、第三管理区分のときの追加措置として個人サンプリング測定等が入ります。両者は別物です。
- 用語が似ていて混同しやすい。「個人サンプリング法による作業環境測定(C・D測定)」「個人サンプリング測定等(第三管理区分の措置)」「RAのための個人ばく露測定」は、それぞれ別の制度です。
費用と段取りの考え方
第三管理区分の措置は、再測定・個人サンプリング測定など複数の測定が続けて必要になります。費用は「作業場の数・広さ・対象物質・測定の種類」で変わるため、一律の金額では表せません。まずは自社の作業場の条件を整理し、必要な測定の全体像と概算の目安をつかむところから始めるのがおすすめです。
実際の手順や記録保存期間は、対象物質と適用される規則によって異なるため、まず自社の測定結果・対象物質・適用規則を確認してください。
当社では、作業場の数・広さ・対象物質を入れるだけで概算の目安をその場でご確認いただけます(正式なお見積りで確定します)。第三管理区分となった後の再測定や、改善後の作業環境測定についてもご相談ください。
よくある質問
Q. 第三管理区分になったら、すぐに操業を止めないといけませんか?
操業停止を一律に義務づける規定ではありません。求められているのは、点検・改善と再測定、改善が困難な場合の呼吸用保護具の使用などの措置を順番に講じることです。
Q. 外部の専門家は必ず頼まないといけませんか?
改善が困難な場合の手順として、その事業場に属さない外部の作業環境管理専門家の意見を聴くことが定められています。社内だけで「改善困難」と結論づけないための仕組みです。
Q. 個人サンプリング測定は誰でもできますか?
2026年10月1日施行の改正で、第三管理区分の措置などの個人サンプリング測定について実施者の資格要件が定められます。それまでの取り扱いも含め、詳しくは測定機関にご確認ください。
最後に
第三管理区分は「違反が確定した」という意味ではなく、「ただちに改善して確かめる段階に入った」という合図です。あわてて手順を飛ばすより、点検・改善→再測定→(困難なら)専門家と個人サンプリング測定、という順番を押さえることが、結果的に近道になります。作業環境測定・再測定・改善後の測定について、段取りや費用の目安から当社へご相談いただけます。
再測定・改善後の測定、費用の目安から相談したいときは
作業場の数・広さ・対象物質を入れるだけで、作業環境測定の概算の目安をその場でご確認いただけます(正式なお見積りで確定します)。